2021年も残すところあと数日になり、慌ただしい日々が続いている方も多いのではないでしょうか。
今年最後となる今回は、石の魅力にフォーカスした展示やフィンランド最古のブランドにまつわる展示、60周年を迎えるソニーのデザイン部門の展示など、1月初旬まで開催されているイベントを中心に5つご紹介します!
石は生きている
埼玉の所沢にある角川武蔵野ミュージアムで1月16日まで開催されている、石をテーマにした企画展示「石は生きている」。監修は荒俣宏さん、プロデュースは京都を拠点に「自然の造形美」を伝える活動を展開するウサギノネドコが担当しています。
気が遠くなるような永い時間をかけて地球の内部でひっそりと生成される石。無生物ではありますが、古来より人はそこに生を見いだし、石を別の自然に見立てたり、まるで生物のような名を込めることで「石が持つ生命性」を愉しんできました。本展ではそうした石の魅力にスポットを当てています。
会場は、「隕石と生命」「石になった生命」「成長する石」「発光する石」「石に見る生命」と大きく5つのゾーンに分けられ、全300点の石が並びます。心機一転したい年末年始など、石の不思議な生命力を感じに訪れてはいかがでしょうか?
場所:角川武蔵野ミュージアム 4F 荒俣ワンダー秘宝館
https://kadcul.com/aramata
フィンレイソン展
京都文化博物館で1月10日まで開催されている「フィンレイソン展」は、北欧フィンランド最古のテキスタイルブランドの創業200年を記念した展覧会です。
1820年の創業以来、寝装品やホームテキスタイルを中心に、質の高い製品と洒落たデザインで人気を博し、日本でも広く知られているフィンレイソン。その歴史は、スコットランド出身のジェームズ・フィンレイソンが、1820年にフィンランド第2の都市、タンペレに紡績工場を設立したことから始まります。1825年にはフィンランド最大の紡績工場として稼働し始め、タンペレの人口の半分を雇うほか、フィンランドで初めて女性を雇用し、その社会進出にも貢献しました。
本展では、フィンランドのタンペレ歴史博物館に保管されている当時の貴重な資料が初公開するほか、同じく工場のあった街、フォルッサ博物館に保管される色鮮やかなデザイン原画やテキスタイルなどをまとめて紹介。
フィンランドの家庭で愛用され、信頼されてきたブランドの200年の歴史をひも解き、その多彩な魅力を味わうことができるでしょう。
場所:京都文化博物館 4F・3F 展示室
https://www.mbs.jp/finlayson_kyoto/
ミニマル/コンセプチュアル:
1960年代におもにアメリカで展開した美術の潮流として知られているミニマル・アート。その特徴は、レンガや金属板、蛍光灯といった工業用素材や既製品が使用されること、正方形や立方体などの単純で幾何学的な形態やその反復による構造が一般的な特徴として挙げられます。
ミニマル・アートに続いて現れ、同時代に拡がりを見せたコンセプチュアル・アートは、実際の制作物以上に、もととなる考えを作品の成立条件として重視するものです。芸術にとって最も重要な要素はアイデアやコンセプトだと考えられ、特定の形態に限定されることなく、言葉をはじめ、写真や映像、印刷物、日用品、自然物、そして作家自身の身体など多様な媒体や形式が用いられました。
こうした新しい傾向をもつ芸術を紹介する国際的な拠点のひとつとなったのが、コンラート・フィッシャーが1967年にデュッセルドルフに開いたギャラリーでした。フィッシャーはアメリカやヨーロッパの若いアーティストたちとコンタクトを取りながら、斬新なプロセスで展覧会を実現させていきます。完成した作品を高い費用をかけて海外から輸送するよりも、作家本人をデュッセルドルフに招いて現地で制作する方法がとられました。または作家が記した指示書に基づき、フィッシャーをはじめ、職人やエンジニアなどが制作と展示設営を遂行しました。
フィッシャーは妻のドロテとともに、展覧会を手がけた作家たちの作品を蒐集し、同時に書簡や指示書、展示のためのドローイングといった多彩な資料も記録、保管してきました。本展では、故フィッシャー夫妻のコレクションを収蔵したノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館の全面的な協力のもと、1960年代から70年代のミニマル・アートとコンセプチュアル・アートを中心とした貴重な作品や、その生成をひも解くアーカイブを展覧します。
さらに、国内所蔵の主要作品を加え、異なる主張や特性を有しながらも、芸術とは何かを問い直し、今日のアートにも多大な影響を与えたこれらの芸術動向を振り返ります。
場所:DIC川村記念美術館
https://kawamura-museum.dic.co.jp/art/exhibition/
FUJI TEXTILE WEEK 2021
山梨県富士吉田市を舞台にテキスタイルを活用した機屋展示・アート展のハイブリッド展「FUJI TEXTILE WEEK 2021(フジ テキスタイル ウィーク)」が、1月9日まで開催されます。
緑豊かな景観と富士山から流れ落ちる清涼な渓流の水の恵みによって、1000年以上続く織物の町として栄えてきた富士吉田市。本イベントでは、テキスタイルを中心とした地域資源とクリエイティビティを混交し、テキスタイルの創造・普及・活性・継承のためのクリエイションとネットワークを紡いでいくことを目的にしています。
会期中は富士山の麓に広がる中心市街地周辺の空き店舗蔵や蔵、旧銀行などを舞台に、12の機屋による機屋展示と大巻伸嗣、郡裕美、西尾美也らをはじめとする10組のアーティストによるアート展を開催。さらに、アーティストや機屋のトークショー、ライブパフォーマンス、機屋の工場をめぐるバスツアーなどの交流プログラムも展開されます。
ONE DAY, 2022/2050 Sci-Fi Prototyping
今年で60周年を迎えたソニーのデザイン部門。これを記念した「ONE DAY, 2022/2050 Sci-Fi Prototyping」展が、1月9日までロームシアター京都にて開催されています。
本展では、ソニーの最先端技術を詰め込んだAI×Roboticsカテゴリーを中心とした、デザイナーとエンジニアが創る「2022年のリアル」と、デザイナーとSF作家がコラボレーションし、Sci-Fiプロトタイピングの手法を用いて描き出したその先の「2050年のありうる未来」と大きく分けて展示。
いつかどこかで交差するかもしれない二つの世界のデザインクリエイションをご体感ください。
場所:ロームシアター京都 ノースホール
https://www.sony.com/ja/SonyInfo/design/news/event/oneday2022_2050/
今年も1年間、たくさんのイベントや展示をご紹介してきましたが、読者のみなさまはいくつ足を運ばれたでしょうか?企画展はものによって数週間で終了してしまうものから、半年くらい長期で展示しているものなどさまざまですが、日々のヒントや彩になっていたら幸いです。
来年も変わらず、編集部おすすめのイベントや展示をご紹介していきますので、どうぞお楽しみに!
タイトルデザイン:いえだゆきな 構成:石田織座(JDN)